連載中
でじたる書房「悪魔のささやき~寝取られ妻、真由香1~」 幻創文庫「だるまさんが転んだ」 先週は日本シリーズにどっぷり浸かってしまっていました。
小出しは決して気を持たせてるのではないです。
せめて、自分のケツを叩く意味で^^
■悪魔のささやき 二巻■②
身の毛もよだつダミ声が脳髄に響くと同時に、全身がカッと熱くなった。あの灼熱の肉交が一瞬フラッシュバックし真由香は狼狽える。
「あれ、見たか?」
矢崎の言う「あれ」。それこそが、問題だった。
今日の午前、真由香宛に届いた宅配便。
その小さな包みには、透明のケースに入れられた一枚のDVDが入っていた。ケースにはサインペンで「二人の記念」と書かれてあり、再生するや真由香は全身が震えたのだ。
そう、悪魔はあの屈辱の情交を収めたビデオを、真由香に送りつけてきたのである。
「どういうつもりなんですか」
努めて冷静に言葉を発したつもりだが、怒りで声が震える。言葉を覚え始めの真貴が、さっきから「ねーママー」と握りしめた手を揺する。
「どういうつもりも何も、あそこに書いてあったとおり記念だよ。よく撮れてただろ?」
ぬけぬけと、よくも言える。許せない。大きく息を吸い込むも、薄ら笑いのダミ声はさらに続けた。
「あんだけ悦んでくれたら俺としても男冥利に尽きるってもんだ。あんたホントいいマ○コしてるぜ」
思い出して今日も2~3回ヌイたところだ、などと下劣極まりない言葉を投げかけ、真由香は怒りとと羞ずかしさで頭がクラクラする。
「最低!卑劣よっ!」
思わず大声をあげた真由香の横を、スーツ姿の中年男性が驚いた顔で通り過ぎた。
真貴がベソをかいて真由香を見上げる。
「でさぁ、折入ってお願いがあるんだけど」
嫌な予感が現実のものとなりつつあった。やはり弥生にすべて打ち明けるべきだったのか。
「…………」
「もう一回だけ、会ってくんないか?」
暗黙の脅し…。
東京メトロ、日比谷線へ向かう階段が、真由香には地獄の入り口のように映るのだった。