連載中
でじたる書房「悪魔のささやき~寝取られ妻、真由香1~」 幻創文庫「だるまさんが転んだ」 団鬼六が亡くなった。
あれは多分二十二歳のとき。
東京某下町の薄暗い小さな古本屋で、僕は花と蛇(角川文庫版)の第四巻を見つけた。
それまでSM雑誌等で目に触れても、時代物や任侠、和服女性の設定にどうにも馴染めなかった僕を鬼六文学に誘ってくれたのが、この四巻登場の村瀬小夜子だった。
宝石店の娘で現代的な美貌を持った令嬢がチンピラ共の手によって最下層の教育を受ける。
今で言えば官能小説の王道だが、当時小夜子と同年齢の自分は昂奮に震えながら読んだものだ。
姦計に堕ちた小夜子は恋人に宛てて決別の言葉をテープに録音させられる。
このとき自分は初めて「寝取られ」と遭遇したと思っている。
その後現代物から片っ端に読みあさり、「鬼ゆり峠」や「無残花物語」は僕の時代物アレルギーをも払拭してくれた。
間違いなく小夜子、お柳、京子や浪路に出会わなければ真由香も咲美も生まれてなかったし、
団鬼六に出会わなければ、自分にエロ小説もどきを書くことなど無理だったと思う。
ブログやツイッターも実は結構読ませていただいていた。
氏の句(つぶやき)で印象に残ったものがある。
正確ではないが、「ポルノ小説でお前を養うと、背中の幼子に詫びた」というような一言だ。
ご冥福をお祈りいたします。